…したがって本項目では,演劇という営為と体験の基底をなすと考えられる特性について,上記4要素とその相関性についての問いを考慮に入れつつ,主として日本演劇と西洋演劇に具体例を借りて,概略を記述してみる。
【観客――視覚の二重性】
現代イギリスの演出家で1960年代末から主としてフランスで活躍しているP.ブルックは,その《なにもない空間》の中で次のような趣旨のことを述べている。〈どこでもいい,なにもない空間。…
…戯曲を上演するためには,その中心となる俳優の演技をとりまく舞台装置,照明,音楽,音響効果などさまざまな要素が必要であるが,そのすべてを統一して調和させるのが演出の仕事である。演出家の使命は現代演劇の発展とともに重要性を増してきたが,この役割は演劇の歴史とともにあったといえる。ギリシア時代には,作者がしばしば演出,俳優,合唱隊長を兼ね,執政官は富める市民を選び出して合唱団の組織,衣装の調達など劇上演の管理にあたらせた。…
…上下の動き,回転の速度が速くなる。ロシアの有名な人形劇演出家オブラスツォフは独特の棒人形を発明した。 手遣いは日本で独自の発達を遂げて,人形浄瑠璃(文楽)の三人遣いの人形が18世紀にできた。…
…演劇用語。公演準備中は演出家(演出)の創造活動を実務的に補佐して稽古に立ち会い,装置・照明など各スタッフのまとめ役となり,公演初日以降は演出家の意図を体現して舞台上および舞台裏の進行いっさいを監督する職能。元来,欧米では劇場付の職能であった。…
…彼はメロドラムの破壊的顕揚によって,メロドラムとロマン派演劇のヒーローとなり,舞台と実人生とを,生と自由性と演戯の限りない蕩尽の場としたからである。しかし,名優の芸術的独善が商業主義の君臨と表裏一体をなすと考えられるに至り,ゾラの自然主義演劇理論によるA.アントアーヌの自由劇場と,象徴派をよりどころとしたリュニェ・ポーの制作座という二つの〈小劇場運動〉が,初めて演劇の〈前衛〉として登場し,新しい文学戯曲の上演を使命とする〈演出家〉の市民権を主張する。これが19世紀の第3の転機であるが,一方この時期に,劇場から排除されていた詩人にほかならぬマラルメは,管弦楽演奏会やオルガン演奏会の流行とワーグナー楽劇に演劇が見失った〈祝祭性〉への〈群集〉の渇望を読み,カトリックの典礼に国家的祝祭の演出モデルを認め,また,バレエやパントマイム等の身体・空間芸術に演劇の基本的魅力を感じとり,しかも韻文劇に代表される〈言葉の演劇〉の限界的実験の必要をも説いていた。…
※「演出家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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