日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェルターデッカー」の意味・わかりやすい解説
シェルターデッカー
しぇるたーでっかー
shelter decker
船の最上層の全通甲板に減トンハッチを設けるなどの手段によって、その下の甲板との間の容積を総トン数から除外するようにした船。波よけ甲板船、遮浪(しゃろう)甲板船ともいう。最上層全通甲板とその下の甲板との間の船内に水が浸入しない構造になっている場合、この船内容積は総トン数に含まれる。船舶の税金や手数料は総トン数によって課せられるので、船の所有者には、積載量が変わらずに総トン数が少なくなれば有利であり、全通甲板には減トンハッチを、甲板間の横隔壁には減トン開口を設け、甲板間の全部または一部の容積を総トン数から除外する方法が考えられた。このトン数計算法は、簡単な天幕や板囲いを総トン数に含ませなかった時代の習慣が、じょうぶな構造の全通甲板にも尾を引いていたのである。減トンハッチや減トン開口はかろうじて波をよけられる程度にすぎなかった。波よけ甲板とか遮浪甲板という名称はこの意味である。シェルターデッキは海水の浸入を許すので船の安全に問題があり、1963年のトン数計算に関する国際会議の勧告を各国が受け入れ、減トンハッチなどを設けなくても前記の甲板間容積は総トン数に含まれないようになった。現在はシェルターデッカーの必要は消滅している。
[森田知治]