〈かんぱん〉あるいはデッキdeckとも呼ばれる。船体の深さ方向に対して水平に設けられる板状の構造物で,船体に水密性,強度,剛性を与えるとともに,乗客・乗組員の居住,貨物の積付け,船体に装備される各種の機械装置の設置に必要な床と区画を提供する。一般に,複数の甲板が層状に設けられるが,もっとも重要なのは最上層の全通甲板であり,これを上甲板という。乾玄を測る基準となる甲板を乾玄甲板というが,通常,上甲板がこれにあたる。一般商船で上甲板上に船楼が存在する場合には船楼甲板が設けられ,船首楼の甲板を船首楼甲板,船尾楼の甲板を船尾楼甲板と呼ぶ。これら船楼は船体の側面形状に特徴を与え,船楼がない場合を平(ひら)甲板船,船首楼のみの場合を船首楼付平甲板船,両方が存在する場合を凹甲板船またはウェル甲板船,船首尾以外に船体中央部付近にも船楼をもつものを三島型船と呼んでいる。上甲板上あるいは船楼甲板上には甲板室のために複数の甲板が設けられるが,このうち最上層の操舵室のある甲板を航海船橋甲板,その屋根をコンパス甲板という。上甲板の下に甲板が設けられる場合には,通常,下方へ順次第2甲板,第3甲板などと名付けられる。最上層に設けられ,外気,外海にさらされる甲板は暴露甲板と呼ばれ水密にされる。
甲板の構造は,桁で支持された梁(はり)の上に鋼板あるいは木などを張りつめたもので,甲板上に加えられる荷重に対して必要な強度と剛性をもつものでなければならない。さらに,外板と結合する甲板は縦強度を分担支持するので,それらのうちの最上層の甲板を強力甲板と呼び,船体強度上の重要構造となる。一般に上甲板が強力甲板となるが,十分に長い船楼甲板がある場合は,その部分では船楼甲板が強力甲板となる。
執筆者:吉田 宏一郎
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船舶用語。デッキdeckともいい、一般には「かんぱん」とよばれる。建物でいえば床にあたる部分で、船内にほぼ水平に敷き詰められる。鋼船の出現以前、甲板は木材で張られていたが、現在ではほとんど鋼板になっている。貨物船の場合は鋼板がむき出しになっているが、客船では鋼板の上に木材を張り詰めたものが多い。船首から船尾まで連続している甲板のうち、最上層にあるものを上甲板という。それより下に甲板があれば第二甲板、さらにその下にあれば第三甲板というようによぶ。上甲板の上方にも何層かの甲板があるのが普通で、直接風雨にさらされる甲板を暴露甲板または露天甲板という。このほか甲板は、その目的、位置、形状などによって、航海船橋甲板、遊歩甲板、強力甲板などさまざまな名称でよばれる。上甲板は外板とともに構造上もっとも重要なもので、船の強度と剛性を保持し、水密性を確保している。
[森田知治]
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…船体の深さ方向に対して水平に設けられる板状の構造物で,船体に水密性,強度,剛性を与えるとともに,乗客・乗組員の居住,貨物の積付け,船体に装備される各種の機械装置の設置に必要な床と区画を提供する。一般に,複数の甲板が層状に設けられるが,もっとも重要なのは最上層の全通甲板であり,これを上甲板という。乾玄を測る基準となる甲板を乾玄甲板というが,通常,上甲板がこれにあたる。…
…船体には,必要とされるこれらの強度を十分にもつとともに,その船の用途に適した構造が採用される。船体強度
[構造形式]
貨物船の船倉は,その船種に応じてそれぞれの貨物の積載と荷役に適した固有の構造様式となっているが,船体構造という観点から機能別に分解すると甲板構造,船底構造,船側構造,隔壁構造という共通の構造部分に大別することができる。甲板は船体の深さ方向に対して水平に設けられる板状の構造物である。…
※「甲板」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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