シナヨモギ(その他表記)Artemisia cina Berg.

改訂新版 世界大百科事典 「シナヨモギ」の意味・わかりやすい解説

シナヨモギ
Artemisia cina Berg.

キク科の草本状の亜低木で,駆虫薬用に栽培される。セメン・シナsemen cinaともいう。高さは70cmほど,茎の基部は木質化し,葉は互生,2回羽状に深裂し,裂片は線形,鈍頭で,全体に毛をかぶり灰緑色である。茎の頂部で分枝して,穂状に小さな頭花をつけ,総苞には黄色の腺点がある。花期は晩夏。開花直前のつぼみをシナ花(英名wormseed,levant wormseed)という。乾燥したものではサントニンsantoninを2%ほど含み,回虫駆除薬とする。西アジア,トルキスタン地方に分布する。シナヨモギによく似た種は,ヨーロッパからモンゴリアにいたる地域に分布し,シナヨモギと同様サントニンを含有するもの,たとえばミブヨモギA.maritima L.があり,シナヨモギ同様,薬用に栽植された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシナヨモギの言及

【ヨモギ(艾∥蓬)】より

…和名は昭和の初期にドイツから輸入され,京都市の壬生(みぶ)で試植されたところからつけられた。トルキスタン地方に自生するシナヨモギとともに,回虫駆除薬のサントニンを得るために栽培される。小花がすべて両性花であることが特徴である。…

※「シナヨモギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android