改訂新版 世界大百科事典 「シノブゴケ」の意味・わかりやすい解説
シノブゴケ (忍蘚)
fern moss
シノブゴケ科,シノブゴケ属Thuidiumの蘚類の総称。世界に約150種,日本に15種ある。植物体は匍匐(ほふく)し,細かく羽状に分枝する。和名は平面的に分枝した繊細な姿をシダ植物のシノブの葉に見立てたもの。英名も同じく植物体の外形に基づく。茎は堅く,通常の葉のほかに毛葉(もうよう)を密生する。葉は小さく,中央脈は明りょう。蒴(さく)は円筒状で傾斜または下垂する。蒴歯はよく発達し,内外2列に並ぶ。アソシノブゴケ(トヤマシノブゴケ)T.kanedae Sak.は全国の低山地の普通種。陰湿な土上や岩上に群生する。植物体は黄緑色で繊細,茎は長さ5~10cm,細かく3回羽状に分枝する。主茎の葉は三角状卵形で長さ1.5mm,先端は突出して尾状。枝の葉は小さく卵形で鋭頭。
執筆者:北川 尚史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報