日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シャラットチャンドラ・チャトーパーディヤーエ
しゃらっとちゃんどらちゃとーぱーでぃやーえ
Saratcandra Caopādhyāy
(1876―1938)
インドのベンガリー文学を代表する小説家。西ベンガル州に生まれ、貧困のうちに育ち、十分な教育を受けられず、カレッジを中途退学後、インド各地を放浪。1903年から12年余りはビルマ(現ミャンマー)のラングーン(現ヤンゴン)で過ごす。この時期にカルカッタ(現コルカタ)の文芸誌に載せた小説で作家としての地位を確立。以後カルカッタに戻り創作活動に入る。また、21年よりインド国民会議派に参加、多くの革命家と交渉をもつ。タゴールの影響を受けた平易な口語体で社会の因襲や偏見に苦しむ貧しいインテリや女性の姿を描いた。政治・社会評論にも優れたものが多い。小説に自伝的長編『スリカント』全4部(1917~33)、『火宅』(1920)、『道の要求』(1926)、評論に『女性の価値』(1923)などがある。
[大西正幸]