日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュレージエン炭田」の意味・わかりやすい解説
シュレージエン炭田
しゅれーじえんたんでん
Schlesien Kohlenfeld ドイツ語
ポーランド南西部、チェコおよびスロバキアとの国境に分布する炭田の総称。シレジア炭田(英語)、シロンスク炭田(ポーランド語)ともいう。上部シュレージエン炭田および下部シュレージエン炭田の二つに分かれる。上部シュレージエン炭田は面積5600平方キロメートルで、原料炭(20%)と一般炭(80%)を産するポーランドの主力炭田である。この炭田からの年生産量は、ポーランド全石炭生産量の90%以上を占める。下部シュレージエン炭田は面積約550平方キロメートル、良質のコークス炭を産するが、地質構造が複雑で開発が困難なため、ポーランド全出炭量のわずか3%を生産しているにすぎない。しかし、当炭田に隣接して4地区にわたって褐炭が広く分布しており、その増産に力を入れている。ポーランドには、このほかウクライナとの国境に未開発のルブリン炭田があり、これら3炭田の埋蔵炭量は1000億トンと推定されている。ポーランドの年間石炭生産量は、無煙炭約27万トン、瀝青炭(れきせいたん)約1億トン、褐炭約6000万トン(2000)である。
[木下重教・樋口澄志]