日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャリリ」の意味・わかりやすい解説
ジャリリ
じゃりり
Abolfazl Jalili
(1957― )
イランの映画監督。6月29日、マルキャズィー州サーベに生まれる。イラン演劇大学で演出を学ぶ。1979年のイラン革命とともにイラン・イスラム共和国放送(IRIB)に入る。学生時代から短編『フクロウ』(1975)などを撮っていたが、IRIB時代にも短編作品やドキュメンタリーを演出している。『スプリング 春へ』(1985)、『かさぶた』(1987)で注目され、『ダンス・オブ・ダスト』(1992)でロカルノ国際映画祭銀豹賞・審査員賞などを受賞(1998)。過酷な労働条件下で働く児童を見据える独特の作風で、一躍イラン映画の新星として認知されるが、その作風が国内で論議の的となり、1998年までの上映禁止処分を受ける。その後も『トゥルー・ストーリー』(1996)、『ぼくは歩いていく』(1998)などを経て、緊迫するイラン=アフガニスタン国境地帯を舞台にした『少年と砂漠のカフェ』(2001)でナント三大陸映画祭金の気球賞などを受賞。ほかに麻生久美子(あそうくみこ)(1978― )主演のイラン=日本合作映画『ハーフェズ ペルシャの詩』(2007)などがある。
[石坂健治]
資料 監督作品一覧
ミラド Milad(1984)
スプリング 春へ Bhar(1985)
かさぶた La gale(1987)
7本のキャンドル Det, Yani Dokhtar(1994)
トゥルー・ストーリー Yek Dastan-e Vaghe'i(1996)
ぼくは歩いてゆく Don(1998)
ダンス・オブ・ダスト Raghs-e Khak(1998)
キシュ島の物語 Ghessé hayé kish-La bague(1999)
少年と砂漠のカフェ Delbaran(2001)
ハーフェズ ペルシャの詩 Hafez(2007)
『『イラン映画をみに行こう』(2002・ブルース・インターアクションズ)』