精選版 日本国語大辞典 「新星」の意味・読み・例文・類語
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ほとんど見えないくらいに暗い恒星が、短期間にその光度を桁(けた)違いに増して明るくなる現象。ただし、まったく新しい星が出現するのではない。
通常の新星は数日の間に元の明るさの数万倍の明るさに達し、その後数か月から数年かけて緩やかに元の明るさに戻る。この現象が恒星表層での爆発現象であることは、分光・測光学的解析で知られている。つまり、増光時、恒星表層下での急激な水素の熱核融合反応によって生じた熱のために、恒星大気が秒速1000キロメートル以上の速さで風船のように膨張し、やがて十分に膨張するとしだいに希薄になって透明になり、冷えて光度が減少し、小さな高温の中心星の表面が見えだす。減光後期には大量に放出された物質が冷えて星間塵(じん)を形成し、強い赤外線を放射する。
このような表層での急激な水素の熱核融合反応のおこる原因は、近接連星系の伴星である晩期型星から主星の白色矮星(わいせい)の表面に水素を含む新しい燃料層が降り注ぐことにある。新星の爆発現象は、晩期型星からの質量降着率と主星の質量に応じて1000年から数百万年程度の時間スケールで繰り返されると考えられる。また、数十年ごとに新星爆発を繰り返すものもあって、回帰新星とよばれている。伴星からの質量流入のために白色矮星の質量が増えてチャンドラセカール限界質量を超えたときに起こる爆発現象はIa型超新星と考えられている。
新星は、太陽系周辺でも毎年、数個発見されており、恒星の世界ではごくありふれた現象と思われる。
新星は、超新星とは区別される。超新星は恒星進化の末期にあたって、恒星全体が不安定となり、星全体が、あるいは中心の一部を残して吹き飛ぶ大爆発現象であり、新星とは桁違いのエネルギーを放出し、増光の度合いも数億倍の明るさになる。
[小平桂一・安藤裕康]
暗かった星が1日から数日で急に明るさを106~108倍(15~20等級)ほど増して,さながら星が新しく生まれたように見える現象。日本は東に太平洋をひかえているので,新星を発見する機会に恵まれており,しばしばアマチュア天文家がその発見者となる。新星のもっとも明るいときの絶対等級は-7~-10等ほどで,数ヵ月ないし数年でもとの明るさにもどる。スペクトルの観測により,高速度の雲がいくつかの層をなして飛散し,後に星雲状態になることが知られている。銀河系内では毎年数十個の新星が出現するが,光の空間吸収のために,観測にかかるものは少ない。過去に2度以上も新星現象を呈した星は回帰新星(反復新星)と呼ばれるが,すべての新星は反復性をもつと考えられる。新星の本体は近接した連星系で,老化して巨星になりつつある赤い低温度星から相手の白色矮星(わいせい)に向かって物質が流入落下して,それがある限度に達すると爆発的にエネルギーを発生すると考えられる。
→超新星
執筆者:大沢 清輝
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(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…新星のように突然大規模に明るさを変える星。激変星cataclysmic variableともいう。…
※「新星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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