日本大百科全書(ニッポニカ) 「スエビ」の意味・わかりやすい解説
スエビ
すえび
Suebi
古ゲルマン人の部族集団名。紀元前後、エルベ川と支流ザーレ川の流域に居住していた、マルコマンニ、クァディ、ヘルムンドゥリ、セムノネス、ランゴバルドなどが含まれる。そのうちまずマルコマンニが優勢となり、ボヘミア地方を征服。その王マルボロドは1世紀初めローマと、ついでケルスキ人の王アルミニウスと戦ったが、のちローマに逃れてその保護を受けた。2世紀なかば、マルコマンニ人は勢力を回復し、クァディ人、ランゴバルド人の一部とともにローマの属州パンノニアに侵入した。他方セムノネス人は、2世紀末から3世紀初頭にかけてマイン川流域に侵入、これを中核にアラマン混成集団が形成され、4世紀中葉マイン川以南に進出した他のスエビ人もこれに合体した結果、アラマン人とスエビ人はしばしば同一視されるようになる。アラマン・スエビ人は5世紀末から6世紀末にかけてフランク王国に征服されたが、西南ドイツの地域名シュワーベンにスエビ人の名をとどめる。
[平城照介]