改訂新版 世界大百科事典 「スビャトスラフ」の意味・わかりやすい解説
スビャトスラフ
Svyatoslav Igorevich
生没年:?-972
キエフ・ロシアの大公。在位945ころ-972年。イーゴリ大公の息子で,964-971年にキエフを進発して,オカ川やボルガ川の流域,北カフカス地方やバルカン半島(ドナウ・ブルガール国)に遠征し,古代キエフ・ロシアの勢威を高めた。ビャチチ族を解放するため,トルコ系遊牧民ハザル族と戦うが,965年にはハザル・ハーン国と和約し,ボルガ・ブルガール国とも交戦と協調を繰り返した。またブルガール族やハンガリー(マジャール)人と連合して,バルカン半島を南下してブルガリア大遠征を行い,またビザンティン帝国とも対決して歴代皇帝を脅かした。その事績は年代記に多く物語られたが,トルコ系の遊牧民ペチェネグ人に殺害された。
執筆者:清水 睦夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報