スペクトル拡散方式(読み)スペクトルかくさんほうしき(その他表記)spread spectrum method

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スペクトル拡散方式」の意味・わかりやすい解説

スペクトル拡散方式
スペクトルかくさんほうしき
spread spectrum method

情報信号変調された搬送波をさらに第2の信号 (拡散信号) でデジタル変調してから送信する変調方式回線容量上の過負荷に強く,また高度の秘話性を有するので,公衆無線通信などに使用される。この方式では,初めに搬送波を情報信号で変調し (これを1次変調という) ,次に,1次変調波形に対してさらに拡散信号による2次変調をかける。拡散信号は任意の「1,0」パルス列の繰返し信号であり,これで1次変調波形をデジタル変調してから送信する。受信側では,送信側と同一パルス列の同期拡散信号を用いて相関検波を行い,1次変調波形を抽出する。これを復調して情報信号を得る。拡散信号が送受信側で一致しなければ単に雑音が受信されるだけなので,高度の秘話性が得られる。したがって互いに異なる拡散信号を使うことにより,交換の操作なく直接多数の相手同士を接続できる。また,この方式では,通信する相手同士の数が増加しても,通信者全体の受信明瞭度が次第に低下するだけで,回線容量のオーバーフローが生じることはない (過負荷耐性が高い) 。これらの特長を生かして,公衆無線通信や移動無線などで利用される。また,相関受信の特長を利用して,高精度測距や位置検出に使われる。

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