翻訳|carrier wave
電波通信を行うときの送るべき信号の運び手となる高い周波数の電波。音声や楽器などの音波は、マイクロホンのような装置で信号電流に変えることができるが、この信号電流は20ヘルツから10キロヘルツ程度の周波数であるから、このままの周波数で電波としてアンテナから放射させるのは困難である。その理由は、10キロヘルツ以下の周波数で能率よく電力を放射させるためには、数十キロメートル以上の長さをもつアンテナが必要になるので、そのようなものは実用性がないからである。一般に、能率よく経済的に電波を発射できるのは30キロヘルツから30ギガヘルツの範囲で、この周波数帯の電波を信号の運び手として使用することが得策である。放射させるのに都合のよい範囲にある周波数の電波の一つを選び、信号電流の変化にあわせて、その振幅、周波数、位相などのいずれかに変化を与え、これを送信すれば、アンテナの長さは選んだ周波数に見合った短いものですむことになる。このような役割をもたせる高周波の電波を搬送波といい、信号によってなんらかの変化を与えられた搬送波を被変調波という。
搬送波に信号の変化に対応した変化を与えることを変調といい、変調された電波は、搬送波と上下の側波帯とからなる。たとえば振幅変調を受けた搬送波は、スペクトラムのうえではすこしも振幅変化を受けないで、上下に側波帯が現れたり周波数や振幅の変化をしているのである。
また、周波数変調や位相変調では搬送波の上下に無限の側波帯をもつが、実効的には振幅変調時の占有周波数帯幅に変調指数を乗じた幅になる。周波数変調と位相変調では、変調指数によって搬送波と側波帯の電力配分が変わり、変調指数2.4、5.5などの値では搬送波が全然なくなるという考えにくいこともおこる。しかし、それは変調の段階で搬送波が消滅するのであって、最初から搬送波が不必要なわけではない。
搬送波は、原理的には、伝送しようとする信号に含まれる最高周波数の2倍以上の周波数であれば変調が可能で、受信側でもとの信号を正しく再現できるとされているが、電波として送信するためには、前述のとおり、送信に都合のよい周波数である必要がある。また、受信機でその周波数帯に同調をとればその信号だけが取り出せるわけであるから、伝送空間を共有する無線通信では、搬送波の周波数を変えることによってたくさんの伝送路をもつことになり、二重の効用があると考えることができるのである。
[石島 巖]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
音声,画像,データなどの無線および有線通信で,情報を送り伝える役目を果たしている正弦波またはパルス波などをいう。たとえば,多くのシステムで,一定振幅,一定周波数の高周波正弦波を音声信号などで変化させ(変調),これが伝送されるが,この高周波正弦波を搬送波という。通信信号を空間または伝送路中を伝えるのに適した波に変えるため,このような搬送波が用いられる。
執筆者:辻井 重男
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