日本大百科全書(ニッポニカ) 「ズバトフ」の意味・わかりやすい解説
ズバトフ
ずばとふ
Сергей Васильевич Зубатов/Sergey Vasil'evich Zubatov
(1864―1917)
帝政ロシアにおける「警察社会主義」の創始者。1880年代なかばより警察の密偵を務め、昇進して96年にモスクワ保安部長に任命された。1901年より、労働者が政治闘争に向かうのを防ぐため、警察の後見下に労働者組織をつくるというアイデアを実施に移し、モスクワに機器産業労働者相互扶助会、ベラルーシ(ベロルシア)地方にユダヤ人独立労働党を組織した。翌年、警保局特別部の長に任命されて、首都ペテルブルグにモスクワと同様の組織をつくったが、全国的に労働運動が高揚するなかで「警察社会主義」は失敗し、03年に失脚した。二月革命期に自殺。
[原 暉之]