内科学 第10版 の解説
その他の素因による先天性血栓傾向(先天性血栓傾向)
欧米の先天性血栓傾向では活性化PC抵抗性(APCレジスタンス)とプロトロンビン遺伝子変異(プロトロンビンG20210A)が大多数を占める.前者の本態は第V因子の遺伝子異常で,活性化した第Ⅴ因子が活性化PCによる不活化を受けないために凝固反応にブレーキがかかりにくくなり,血栓症が起こりやすくなる.日本人ではプロトロンビンG20210Aを含めていまだ報告はない.
一方,異常フィブリノゲン血症とプラスミノーゲン異常症による血栓傾向がわが国でも報告されてる.ヘパリンコファクターⅡなどその他の血栓制御因子については血栓症の患者で先天異常が見つかるものの,その頻度は健常人を対象とした調査と差がないとの報告もあり,血栓症のリスクファクターになるとのエビデンスがない.von Willebrannd因子切断酵素(ADAMTS13)の先天性欠乏により新生児期から血栓傾向を示すUpshaw-Schulmann症候群については【⇨14-11-5)】を参照されたい.[白幡 聡]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報