血栓症(読み)ケッセンショウ

家庭医学館 「血栓症」の解説

けっせんしょう【血栓症】

 凝固制御因子(ぎょうこせいぎょいんし)の欠損、線溶(せんよう)異常、血管障害によって血栓(血液のかたまり)が生じる病気があります。
 血栓は、静脈に生じることが多いのですが、病気によっては動脈にも生じます。
 先天性のものと後天性のものとがあります。
■先天性の血栓性疾患
 プロテインC欠損症、プロテインS欠損症、アンチトロンビンⅢ欠損症などが、凝固制御因子の欠損のためにおこります。
 また、線溶異常はプラスミノゲン欠損症が、血管障害はホモシスチン尿症があります。
 いずれもまれな病気です。
 これらの病気の発症は、通常、思春期後期以後ですが、プロテインC欠損症のホモ接合体は、新生児期に電撃性紫斑病(でんげきせいしはんびょう)などの重篤(じゅうとく)な血栓症をおこします。
■後天性の血栓性疾患
 子どもの後天性の血栓症は、成人に比べてまれです。
 血管内へのカテーテル留置、DIC(播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん))、先天性心疾患、大手術、脱水症、感染症、肝臓病、ネフローゼ症候群慢性腎炎(じんえん)、炎症性消化管症候群、抗リン脂質抗体(ししつこうたい)症候群、膠原病(こうげんびょう)、川崎病などが、その原因となります。
●対策
 先天性の血栓性疾患の診断には、特殊な検査が必要で、血液専門の医師の診察が必要になります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

世界大百科事典(旧版)内の血栓症の言及

【血管内凝固症候群】より

…血液は,血管内を循環している間は,通常,凝固しないものであるが,血管壁の変化,凝固促進物質の血管内への出現などで,血管内でも血液凝固が起こることがある。凝固によって生じた塊が血栓であり,それが局所にとどまる場合は血栓症であるが,全身に広範に血管内凝固が起こり,微小血栓が散布されたような状態が起こると,血管内凝固症候群と称する。すでに存在している各種の疾患が原因となって起こり,原因疾患としては,癌,白血病,重症感染,産科的疾患など多種にわたる。…

【血栓】より

…正常な状態では心臓や血管内で血液が凝固することはないが,病的な要因から凝固をおこすことがある。このように血液が凝固してできた塊を血栓といい,血栓のある状態を血栓症thrombosisという。これに対し,死後に血液が凝固してできた塊は凝血塊coagulumとよばれ,血栓と区別される。…

※「血栓症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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