タバレスターン(その他表記)Tabarestān

改訂新版 世界大百科事典 「タバレスターン」の意味・わかりやすい解説

タバレスターン
Tabarestān

カスピ海南東岸のイランの一地方。東はゴルガーン,西はギーラーン,南はエルブルズ山脈に接する。マーザンダラーンMāzanderānの古名で,この名称は古代にタプルTapūr族の住地であったことに由来する。13世紀までこの呼称が用いられた。政治的に重要でなかったため,イスラム化は旧ササン朝領で最も遅く,他地方がアラブに征服されてから1世紀以上もたった8世紀半ばまで独立を保っていた。アッバース朝後期にはアーモルĀmol,ターヒル朝下ではサーリーSārīが主都であった。9世紀にターヒル朝の支配下に入り,13世紀にモンゴルの侵入を被り,15世紀にはティムール朝の版図に入った。アッバース朝時代の有名な歴史家タバリーはこの地方の出身である。すでに10世紀に米の栽培を伝える記録があり,ギーラーンとともに米の主産地である。年降水量は1000mmを超す。絹,木材,じゅうたん,各種繊維製品の産地としても古くから有名である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のタバレスターンの言及

【ダイラム】より

…カスピ海南西岸の山岳地帯の古名。東のタバレスターン,西のギーラーン地方も広義のダイラムと呼ばれることがあったが,正確には,この両者にはさまれた地方をいう。峻険な地形のため,アラブの征服の時代にもイスラム化することがなく,キャドホダーkadukhodāと呼ばれる者が支配する,家父長制的で閉鎖的な社会であったという。…

※「タバレスターン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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