タバリー(読み)たばりー(英語表記)al-abarī

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タバリー」の意味・わかりやすい解説

タバリー
al-Tabarī, Abū Ja`far Muḥammad ibn Jarīr

[生]839. アームル,タバリスターン
[没]923. バグダード
アッバース朝時代の歴史家,神学者,法学者。ハディース (伝承) を収集するためにイブン・ハンバル (780~855,ハンバル派の創始者) の没後,レイからバグダードに入り,シリアを経由してエジプトへおもむいた。バグダードへ戻ったのちは,ハンバル派と決別してジャリール派をみずから形成して研究活動を行なった。後世コーラン解釈の基礎とされた『コーラン解釈論集』 Jāmi` al-Bayān fīTafsīr al-Qur'ānや,年代記『預言者と諸王の歴史』 Ta'rīkh al-Rusul wa al Mulūkなどを著わした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タバリー」の意味・わかりやすい解説

タバリー
たばりー
al-abarī
(839―923)

アッバース朝時代の代表的歴史家、コーラン学者。イラン北部タバリスターンのアームルに生まれ、バグダードで死去。幼少時から天才誉れ高く、若くして学問の道を志し、バグダードに留学した。多くの学者に師事したのち、クーファ、シリア、エジプトなど各地、各都市に旅行し、碩学(せきがく)と交わり、各地に伝わるあらゆる種類の膨大な伝承を収集した。バグダードに帰還後、著述活動に専念し、代表作『諸預言者と諸王の歴史』(大年代記)、『タフスィール』(コーラン解釈)などを著した。前者は古典的イスラム史学を代表する作品で、世界の創造から彼の時代までの西アジア、イスラム世界の歴史を年代記的に叙述したものである。

[花田宇秋 2018年4月18日]

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