改訂新版 世界大百科事典 「タマネギバエ」の意味・わかりやすい解説
タマネギバエ
onion fly
Delia antiqua
双翅目ハナバエ科の昆虫。幼虫がタマネギ,ラッキョウ,ニラ,ニンニクなどの茎に潜入して食害するので有名な農業害虫。ヨーロッパ,北アメリカなど北半球に広く分布する。日本では北海道全域にふつうに見られる。本州,九州にも記録があるが,最近では近畿以西では発生していない。北海道では年に2~3回,他の地方では4回発生する。成虫は体長5~7mm,体は灰褐色である。さなぎで越冬し,春に羽化する。5月末ころから産卵を開始,卵は土中に産みつけられる。約3日で孵化(ふか)し,孵化した幼虫はネギなどの土際から茎に潜入して発育する。1本の茎に数十匹も集まって食害することが多く,食べ終えると次々と移っていく。幼虫期間は2~3週,3齢を経過して土中で蛹化(ようか)する。蛹期は十数日。羽化した成虫は約2ヵ月生存する。2回目の発生は7月ころ,3回目は9月ころである。真夏には土中で蛹態で越夏することもある。
執筆者:篠永 哲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報