日本大百科全書(ニッポニカ) 「ターラナータ」の意味・わかりやすい解説
ターラナータ
たーらなーた
Tāranātha
(1573―1615?)
チベットの僧。チベットのツァン州に生まれ、幼名をクンガニンポと称した。チベット仏教サキャ派の枝派ジョナン派に属し、1608年、35歳のときに『ターラナータ仏教史』として知られるインド仏教史を著した。彼の仏教史の特色は、後期大乗時代より密教時代にかけての叙述にあるとされている。晩年は蒙古(もうこ)(モンゴル)に至り、清(しん)朝皇帝の保護の下に多くの寺を建立し、同地で没した。これにより彼はジェツンダンパの称号を受け、以後その転生者(てんしょうしゃ)がいわゆるクーロン(庫倫(くろん))活仏となった。
[木村隆徳 2017年4月18日]
『寺本婉雅訳注『ターラナータ印度仏教史』(1928・丙午出版社)』