クーロン(読み)くーろん(その他表記)Charles Augustin de Coulomb

デジタル大辞泉 「クーロン」の意味・読み・例文・類語

クーロン(〈フランス〉coulomb)

国際単位系(SI)の電気量単位。1クーロンは1アンペア電流が1秒間流れたときに運ばれる電気量国際単位系の放射線照射線量の単位にも用い、その場合にはクーロン毎キログラム記号C/kg)で表す。1クーロン毎キログラムはX線γガンマの照射により、空気1キログラムにつき1クーロンの電気量を有する正および負のイオン群を生じさせる照射線量をいい、3876×103レントゲンに等しい。名称は、C=A=クーロンにちなむ。記号C

クーロン(Charles Augustin de Coulomb)

[1736~1806]フランス物理学者。「クーロンの法則」を発見。

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精選版 日本国語大辞典 「クーロン」の意味・読み・例文・類語

クーロン

  1. [ 1 ] ( Charles Augustin de Coulomb シャルル=オーギュスタン=ド━ ) フランスの物理学者、技術者。ねじりばかりを発明し、これを利用して帯電間、磁極間の引力および斥力に関する「クーロンの法則」を発見、静電気学、磁気学に定量的基礎を築いた。(一七三六‐一八〇六
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [フランス語] coulomb ) 電気量の単位。一アンペアの電流を一秒間通じるときに移動する電気の量。〔電気訳語集(1893)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クーロン」の意味・わかりやすい解説

クーロン(Charles Augustin de Coulomb)
くーろん
Charles Augustin de Coulomb
(1736―1806)

フランスの土木工学者、物理学者。フランス南西部のアングレームに生まれる。工兵学校で力学理論や工学技術を修得したのち、1761年工兵隊に入り、要塞(ようさい)、運河、港湾の建設などを指導した。フランス領西インド諸島にも8年間勤務した。1782年、健康を害して帰国してからは、橋梁(きょうりょう)建設技術などとの関連で摩擦の研究に進み、アモントンの成果を受け継いで、摩擦に関するクーロンの法則を明らかにした。しかも、平面の相対運動による摩擦だけでなく、転がりの摩擦やピボット軸受の摩擦についても研究した。また、真鍮(しんちゅう)や鉄などの細い金属線におもりをつけてつるし、細線をねじったときの復原力による振動を利用して、ねじれ弾性についても研究した。彼が電気・磁気に関するクーロンの法則を実験的に示すときには、このときの装置(ねじり秤(ばかり))と研究成果が利用された。まず、同符号の電荷の反発力(斥力)でねじり秤の金属線をねじり、そのときの金属線の復原力と電荷間の距離との関係を調べることによって、電荷間の斥力が距離の2乗に反比例することを示した(1785)。しかし、異符号の電荷(引力)の場合には、ねじり秤の静力学的つり合いを用いたこの方法ではうまく実験できなかった。そこで、引力によって回転振動を生じさせ、その減衰度(振動の持続時間)から引力の大きさを求めるという動力学的な方法を採用した。このようにして、電気・磁気の引力・斥力がすべて距離の2乗に反比例することを実験的に示すことに成功した(1787)。ただし、電荷・磁荷の引力・斥力が逆二乗則に従うというのは、クーロン以前に、プリーストリーキャベンディッシュも抱いていた考えであって、クーロンの独自性は、その逆二乗則を精確な定量的実験によって示した点にある。また理論の面においても、電気・磁気について遠隔作用説をとり、当時フランスで支配的であったデカルト流の渦動論に対立していた。とはいえ、彼のこれら定量的な研究を基礎に、ポアソンガウスグリーンらがポテンシャル論という数学的理論を発展させていったことにみられるように、定量的な静電磁気学の発展の端緒を切り開いた彼の功績は、高く評価される。

[杉山滋郎]


クーロン(電気量の単位)
くーろん
coulomb

国際単位系(SI)の電気量の単位。組立単位の一つである。1アンペアの電流によって1秒間に運ばれる電気量で、記号はC。1948年この定義に変わったが、これは絶対クーロンで、それ以前のクーロンは0.999835絶対クーロンに相当する。クーロンという名称は1881年の国際電気標準会議でつけられたもので、度量衡制度にも功績のあったフランスの物理学者C・A・クーロンの業績にちなんでいる。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]


クーロン(ウランバートル)
くーろん / 庫倫

モンゴルの首都ウランバートルの中国語による呼称。

[編集部]

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改訂新版 世界大百科事典 「クーロン」の意味・わかりやすい解説

クーロン
Charles Augustin de Coulomb
生没年:1736-1806

フランスの土木工学者,物理学者。フランス西部のアングレームの生れ。メジエールの工兵学校に学び,J.C.ボルダと親交を結ぶ。1761年工兵科を副首席で卒業,64年に西インド諸島のマルティニク島勤務を命ぜられ,技術将校としてブールボン城塞(じようさい)の建設などを担当した。健康を害して72年にフランスに戻り,勤務のかたわら応用力学の研究を行う。77年磁気コンパスに関する論文でパリ・アカデミー賞を受けたが,この論文には磁性の定量的扱い,ねじれ力およびねじりばかり,摩擦と流体抵抗など,その後の研究の多くの要素が含まれており,のちのクーロンの弾性体と磁性の理論の萌芽を見ることができる。ロシュフォールの造船所で行った摩擦の実験をまとめた論文は,81年,アカデミーで2回目の賞を受け,彼自身アカデミーの会員に選ばれた。これを契機にパリに永住し,本格的に物理学の研究に専念,1806年までに25編の論文を発表した。なかでもねじれ力とねじりばかりの論文,1785年に始まる電気と磁気に関する7編の論文は有名である。金属線のねじれ力と弾性に関する研究の中で発明した精密なねじりばかりを利用して,85年には同符号の電荷をもつ物体どうしの斥力が距離の2乗に反比例することを確かめ,87年には電荷や磁極による引力,斥力がすべて距離の2乗に反比例することを確認し,クーロンの法則を確立した。
執筆者:


クーロン
coulomb

電荷または電気量の国際単位系の単位。記号はC。同時にMKSおよび実用単位系の単位でもある。フランスの物理学者C.A.deクーロンにちなみ名付けられた。1Aの不変電流が1秒間に運ぶ電気量をいい,1C=1A・sである。クーロンはまた電束および電気変位束の国際単位系の単位で,1Cの電荷から発する電束は1Cである。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「クーロン」の意味・わかりやすい解説

クーロン

フランスの物理学者,技術者。技術将校になり(1760年),西インド諸島のマルティニク島で建設事業に従事(1764年―1772年),健康を害しパリに戻り,以後科学的研究に専念。摩擦の法則を発見(1779年),精密なトーションバランスを考案(1784年),これを用いて電荷間,磁極間に働く力に関するクーロンの法則を発見(1785年)。電気量の単位クーロンは彼の名に由来。
→関連項目磁気

クーロン(単位)【クーロン】

電気量のSI組立単位。記号C。1アンペア(A)の電流が1秒間に運ぶ電気量。1C=1A・s。C.A.deクーロンにちなむ。
→関連項目アンペア時電荷

クーロン(庫倫)【クーロン】

ウランバートル

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クーロン」の意味・わかりやすい解説

クーロン
Coulomb, Charles-Augustin de

[生]1736.6.14. アングレーム
[没]1806.8.23. パリ
フランスの物理学者。初め陸軍技師として西インド諸島で任務についていたが病気のためパリに帰り,フランス革命が起こると退役し,地方のブロアで科学研究を続けた。1802年公教育監督官に任命された。1776年以降度量衡制定の仕事に関係,パリ大学でねじり秤によって帯電体の間および磁極間の引力や斥力を測定し,1785年クーロンの法則を見出した。この法則は静電気学,磁気学に数量的基礎を与えた重要なもので,この功績をたたえて電気量の単位にクーロンの名がつけられた。ほかに摩擦の法則(アモントン=クーロンの法則)を確立した。

クーロン
coulomb

電気量または電荷の SI組立単位。記号はC。 1Cは強さ 1Aの電流が1秒間に運ぶ電気量である。単位名は C.A.クーロンの名にちなむ。

クーロン(庫倫)
クーロン

「ウラーンバートル」のページをご覧ください。

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化学辞典 第2版 「クーロン」の解説

クーロン
クーロン
coulomb

電気量の単位.記号 C.1 A の電流が1 s 間に運ぶ電気量.すなわち,

1 C = 1 As.
国際単位系(SI単位)にもそのまま採用されている.

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単位名がわかる辞典 「クーロン」の解説

クーロン【coulomb】

電気量・電荷の国際単位。記号は「C」。1Cは1Aの定常電流によって、1秒間に運ばれる電気量。電子と陽子の電荷は1.6×10-19C。◇名称は、フランスの物理学者クーロンにちなむ。

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知恵蔵 「クーロン」の解説

クーロン

SIの電荷の単位。固有の名称を持つ組立単位で、フランスの物理学者名にちなむ。電荷は電気量とも呼ばれ、単位1 Cは、1 Aの定常電流によって1秒間に運ばれる電気量。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「クーロン」の解説

クーロン(庫倫)(クーロン)

ウラーンバートル

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旺文社世界史事典 三訂版 「クーロン」の解説

クーロン

ウランバートル

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世界大百科事典(旧版)内のクーロンの言及

【クーロンの法則】より

…式で書けば,kを比例定数として,と表される。これをクーロンの法則と呼び,静電気力のことをクーロン力ともいう。1785年C.A.deクーロンが発見したことからこの名があるが,彼以前にもJ.プリーストリー(1767),H.キャベンディシュ(1772)によって見出されていた。…

【磁気】より

… その後,磁気の研究は多くの科学者によって研究された。磁極と磁極との間に働く力を定量的に測定し,その大きさが距離の2乗に反比例することを決定づけたのはC.クーロンである(クーロンの法則)。磁場が電流によっても生ずることを発見したのはH.C.エルステッドで,これを定量的に法則化したのはA.M.アンペールである。…

【電気】より

…遠隔作用論の確立とともに,電気力の大きさが距離とともにどう変わるかが問題となった。これに対する解答は,1785‐89年にフランスのC.A.deクーロンによって,逆2乗法則として与えられた(クーロンの法則)。これ以後,与えられた電荷の分布から,その周囲に及ぼされる電気力を計算することが大きな課題となった。…

【摩擦】より

…(1)摩擦力は接触面に垂直に加えられる力に比例し,物体間の見かけの接触面積とは無関係である,(2)動摩擦力はすべり速度には無関係である,(3)一般に静摩擦力は動摩擦力より大きい。このうち(1)と(2)は,1669年にフランスのアモントンGuillaume Amontons(1663‐1705)が発表し,その後C.クーロンが確認したことから,アモントンの法則またはクーロンの法則と呼ばれている。前述した力学の説明にも(1)を用いたが,これらはもともと潤滑を行っていない面の摩擦について得られた経験則で,つねに厳密に成立するというものではない。…

※「クーロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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