チェルケス族
チェルケスぞく
Cherkess
ロシア,北カフカスの先住民族。かつてチェルケスと称された民族には今日のアドゥイゲ,カバルダ,チェルケスの各民族が含まれる。彼らは自称アドゥイゲで,言語,文化を共通にするが,今日ではそれぞれ独立した民族となっている。トルコ,シリアなどへの移民を含め,総人口は 50万以上。アドゥイゲ (チェルケス) 語はカフカス諸語の西方語派を構成する。狭義のチェルケスは,カラチャイチェルケス共和国に居住する人々をさす。古くから牧畜と農業を営み,農家の広い敷地は柵囲いされ,内部はさらに住居,農作業場,畜舎に仕切られていた。住居は男女別に居所が二分され,また,特有の炉には多くの信仰儀礼があった。また社会的慣習としては特異な養子制度 (アタルィチェストボ) があり,これは父系氏族制度の伝統に支えられていた。古くはキリスト教が,16世紀以降はイスラム教が進出したが,近年まで多様な伝統的な信仰が残存していた。伝承にはナルト叙事詩,巨人英雄伝説などがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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