チェルケス族(読み)チェルケスぞく(その他表記)Cherkess

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チェルケス族」の意味・わかりやすい解説

チェルケス族
チェルケスぞく
Cherkess

ロシア,北カフカス先住民族。かつてチェルケスと称された民族には今日のアドゥイゲカバルダ,チェルケスの各民族が含まれる。彼らは自称アドゥイゲで,言語,文化を共通にするが,今日ではそれぞれ独立した民族となっている。トルコシリアなどへの移民を含め,総人口は 50万以上。アドゥイゲ (チェルケス) 語はカフカス諸語の西方語派を構成する。狭義のチェルケスは,カラチャイチェルケス共和国に居住する人々をさす。古くから牧畜と農業を営み,農家の広い敷地は柵囲いされ,内部はさらに住居,農作業場,畜舎に仕切られていた。住居は男女別に居所が二分され,また,特有の炉には多くの信仰儀礼があった。また社会的慣習としては特異な養子制度 (アタルィチェストボ) があり,これは父系氏族制度の伝統に支えられていた。古くはキリスト教が,16世紀以降はイスラム教が進出したが,近年まで多様な伝統的な信仰が残存していた。伝承にはナルト叙事詩,巨人英雄伝説などがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android