改訂新版 世界大百科事典 の解説
チュクチ・カムチャツカ語族 (チュクチカムチャツカごぞく)
Chukuche-Kamuchatkan
ツングース諸語,ユカギール語,エスキモー・アレウト語族の語域に隣接するアジアの北東端に分布し,チュクチ語,ケレク語,アリュトル語,コリヤーク語,カムチャダール語(またはイテリメン語)からなる。語族内の親近性は,カムチャダール語が他の4言語から隔たっている。能格構文があり,ほとんどの言語が母音調和をしめし,動詞のなかに名詞幹を抱きこみうる類の抱合語である。世界の他の言語との系譜関係については,なんら確実なことはわかっておらず,便宜上,旧アジア諸語にふくめられている。ただエスキモー語との接触は明らかである。チュクチ族の自称ルオラベトランがチュクチ語のみならず,この語族の名称(ルオラベトラン諸語(語族)Luoravetlan)として用いられたこともある。
執筆者:宮岡 伯人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報