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母音調和 ぼいんちょうわ vowel harmony

翻訳|vowel harmony

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

母音調和
ぼいんちょうわ
vowel harmony

同一形態論的単位内の母音の配列の制限規則をさす。歴史的には,調音上の同化が原因と考えられる。ウラル語族アルタイ諸語に顕著な現象。典型的な例はトルコ語で,/i,e,ü,ö; ı,a,u,o/の8母音が,舌の調和 (男性〈奥舌〉母音と女性〈前舌〉母音は共存しない) を中心に唇の調和 (丸口母音は丸口母音にしか続かない) ,顎の調和 (語尾の母音は広母音と狭母音の間で交替を示さない) という規則に従う。

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デジタル大辞泉の解説

ぼいん‐ちょうわ〔‐テウワ〕【母音調和】

一つの語形の中に現れる母音の配列に一定の共存の法則が認められる現象。例えば、トルコ語で、一語の中には、前舌母音、または後舌母音だけしか現れないが、このような事例を母音調和という。古代日本語にも、母音調和とみられる現象の残存が認められる。

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百科事典マイペディアの解説

母音調和【ぼいんちょうわ】

ウラル諸語,トルコ語などにみられる母音間の同化の現象。たとえばトルコ語で〈…から〉を表す形がev-den/yol-danのようにden/danと母音を変えるのは,その前に立つ要素の含む母音のもつ前方性と後方性による。
→関連項目上代特殊仮名遣いツングース諸語

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世界大百科事典 第2版の解説

ぼいんちょうわ【母音調和 vowel harmony】

語を構成する音声において,母音の間に働く調音的統制。一つの語を表す音声部分にあって,ある系列の母音のみが用いられる現象でウラル語族アルタイ諸語などに見うけられる。母音調和には,(1)同一母音を用いる完全調和と,(2)同一特徴の母音を用いる部分調和とがある。 (1)完全調和の例として,フィンランド語の入格語尾〈…の中へ〉がある。talo‐on〈家の中へ〉,muna‐an〈卵の中へ〉,tyttö‐ön〈少女の中へ〉のように,語幹末の母音を繰り返してから‐nをつける。

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大辞林 第三版の解説

ぼいんちょうわ【母音調和】

語幹あるいは語幹と接辞の結合など一定の言語単位内部で、共存可能な母音の組み合わせに制限が認められる現象。ある言語の母音が、前舌・後舌、円唇・非円唇、広い・狭いなどの基準によってグループに分かれ、同一グループの母音どうしでのみ共存が許される。アルタイ諸語、フィン-ウゴル諸語のほか、世界の多くの言語にみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

母音調和
ぼいんちょうわ

母音配列に関する制限のこと。言語によっては、母音の系列(広狭、前後、円平)が対立していて、語を構成するうえでの制約となって現れることがある。この現象を母音調和という。人の言語に用いられる音は、子音と母音に分けられる。母音は口腔(こうこう)の共鳴室の広さ、口蓋(こうがい)と舌との間の狭めの位置、唇の丸め方などによって、その音色を変える。アのような口の開きの大きいものを広母音(ひろぼいん)、イのような口の開きの小さいものを狭母音(せまぼいん)とよび、イのような狭めの位置が口の前のほうに寄っているものを前母音(まえぼいん)、英語のウのような狭めの位置が口の後ろのほうに寄っているものを後母音(あとぼいん)とよび、英語のウのような唇の丸めを伴うものを円母音(まるぼいん)、伴わないものを平母音(ひらぼいん)とよぶ。
 たとえば、トルコ語には母音が八つあるが、前母音のi,[y],],eは、後母音の],u,o,aと一語のなかで共存しないのが原則であり(外来語を除く)、語尾や接尾辞が続く場合にもこうした制限下に置かれる。kpek(キョペキ)「イヌ」という語は前母音のみからなり、その複数形はkpek-ler(キョペキレル)となるが、maymun(マイムン)「サル」という語は後母音のみからなり、その複数形はmaymunlar(マイムンラル)となる。さらにkoyun-u(コユヌ)「ヒツジ・を」対kedi-yi(ケディイ)「ネコ・を」などでは、円母音と平母音の対立が加わる。母音調和はトルコ系諸言語、モンゴル諸語、ツングース諸語などに広く認められるが、古代日本語にも似たような現象が認められている。[竹内和夫]

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世界大百科事典内の母音調和の言及

【チュルク諸語】より

…いわゆる〈オイロート語〉もこの後者に属する。 チュルク語では,他のアルタイ諸語よりも一般に厳格な母音調和が行われている。トルコ共和国語(トルコ語)を例にすると,八つの母音音素が/a,o,ı,u/と/e,ö,i,ü/の二つの群に分かれ,それぞれに属する母音音素が互いに同一の文節内で共起することがない。…

【ツングース諸語】より

…赫哲語はナナイ語のこと,満語は満州語のこと,錫伯語はシベ族の話す満州語である。
[特徴]
 ツングース諸語の単語内における母音(音素)のあらわれ方には母音調和とよばれる制限があり,いわゆる男性母音(たとえばa,o)と女性母音(たとえばə)が通常同一の語の中に共存しない。ツングース各言語は母音の調音的・音響的性質も母音の数も互いに異なるので,母音調和も細かい点は各言語により異なる。…

【トルコ語】より

…チュルク諸語のなかで目だつ言語的特徴は次のとおりである。(1)母音調和が厳密で,整然としている。例:inek〈雌牛〉,inekler〈雌牛ども〉,ineğim〈私の雌牛〉,ineklerden〈雌牛どもから〉;koyun〈羊〉,koyunlar〈羊ども〉,koyunum〈私の羊〉,koyunlardan〈羊どもから〉。…

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