改訂新版 世界大百科事典 「ツボミゴケ」の意味・わかりやすい解説
ツボミゴケ
苔類のツボミゴケ科ツボミゴケ属Jungermanniaの総称。世界に約200種,うち日本に約30種ある。湿った土上,岩上や水中などに生育する。葉は全縁で,茎に2列につき瓦状に重なり,腹葉はない。花被は口が狭く,つぼみ状を呈する。オオホウキゴケJ.infusca(Mitt.)Steph.は本州以南の各地に普通に産し,崖や土手などに群生する。チャツボゴケJ.vulcanicola(Schiffn.)Steph.は温泉の付近に多く,硫黄を含んだ水中に黄緑色~赤褐色の大群落をつくる。イナワシロツボミゴケJ.nipponica(Sak.et Takah.)Hatt.は水中に生じ,猪苗代湖ではまれにマリゴケをつくる。Jungermanniaはリンネのつくった属で,19世紀中ごろまでは茎と葉の分化した苔類(今日のウロコゴケ目Jungermanniales)の大部分の種がこの属に入れられていた。
執筆者:北川 尚史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報