マリゴケ(読み)まりごけ(英語表記)moss ball

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリゴケ」の意味・わかりやすい解説

マリゴケ
まりごけ / 毬苔
moss ball

湖沼などの水底で水の運動によって小石などが転がり、この石の上に生えていたコケ類が石を中心としてしだいに球形の塊となったものをいい、特定の種名ではない。したがって、マリゴケをつくるコケ類は、水中にも生育することのできる種類となる。そのおもなものは、ヤナギゴケAmblystegium riparium、ヒロハノススキゴケDicranella palustris、イナワシロツボミゴケJungermannia nipponicaなどである。

 福島県猪苗代(いなわしろ)湖にみられるマリゴケは国の天然記念物に指定されている。このマリゴケはヒロハノススキゴケからできているものがほとんどで、かつてみられたイナワシロツボミゴケによるものは、今日ではごくわずかとなっている。このほか、日本では北海道の阿寒(あかん)湖、屈斜路(くっしゃろ)湖から同じようなマリゴケがみいだされている。外国ではヨーロッパ、アラスカ、南アメリカ南部などの湖沼からみつかっているが、マリゴケをつくるコケ類は、日本のものとは種類を異にしている。

[井上 浩]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マリゴケ」の意味・わかりやすい解説

マリゴケ(毬蘚)
マリゴケ

岸辺の水面近くまたは湖沼の水中に繁茂したコケ類の群叢が水や波の運動によって削り取られ,水底で回転するうちに藻類マリモと相似状になったものをさす。これを形成するコケ類としてはヤナギゴケ,イナワシロツボミゴケ,ヒロハノススキゴケなどが知られている。北海道の屈斜路湖阿寒湖のものが有名である。また福島県猪苗代湖のヒロハノススキゴケのマリゴケは天然記念物に指定されたが,現在はほとんど絶滅状態である。

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