日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツーカー」の意味・わかりやすい解説
ツーカー
つーかー
携帯電話会社の旧グループ名。または2008年(平成20)3月末までKDDI株式会社によって展開された携帯電話サービスのブランド名(「TU-KA(ツーカー)」)。
1994年4月から日産自動車を主要株主として、ツーカーホン関西、ツーカーセルラー東京、ツーカーセルラー東海の3社は、相次いでサービスをスタートした。設立当時、日産自動車が出資している企業に「ツーカー」という名称が社名に入っており、デジタルツーカー、ツーカーセルラー、ツーカーホンがあった。これらの名称は出資比率によるが、日産の通信業界からの撤退に伴い、ツーカーセルラーとツーカーホンが第二電電(DDI。現KDDI)へ売却。その後2005年3月25日よりKDDIの完全子会社となり、同年10月、KDDIに吸収合併された。またデジタルツーカーは日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)へ売却され、J-フォングループ、ボーダフォンを経て現在はソフトバンクモバイルとなっている。
ツーカーグループの営業エリア(東名阪)以外では、ソフトバンクモバイルの設備を利用した通信インフラ(基盤)となっていたため、同じKDDIグループであるauのインターネット接続サービス「EZweb(イージーウェブ)」を利用しつつ、「スカイメッセージ」のようにソフトバンクモバイルと互換性をもつサービスを提供していた。
TU-KAは「シンプルってうつくしい」というコンセプトを打ち出し、「機能をシンプルに」「デザインをシンプルに」「料金体系をシンプルに」という差別化を図り、若年層をターゲットとするauと、高年齢層をターゲットとするTU-KAとのすみ分けを図りながら事業展開を行っていたが、新規加入者の減少と、ツーカー加入者のauへの契約変更が増加したことを背景として、2006年6月末に新規加入受付けを終了、2008年3月末に携帯電話サービスをすべて終了した。携帯電話契約数192万、EZweb契約数61万(ともに2006年9月累計)。KDDIに吸収合併される前のツーカーの売上高2314億円(2004年度)。ツーカーセルラー東京:資本金60億円、ツーカーセルラー東海:資本金30億円、ツーカーホン関西:資本金60億円(授権資本120億円)(2004年度)であった。
[小林千寿]