日本大百科全書(ニッポニカ) 「テグネル」の意味・わかりやすい解説
テグネル
てぐねる
Esaias Tegnér
(1782―1846)
スウェーデンの詩人、ルンド大学のギリシア語教授、司祭。彼を有名にした愛国詩『スベェア』(1811)は、ナポレオン戦争の結果、スウェーデン領のフィンランドがロシア帝国に割譲された憤懣(ふんまん)を歌い上げている。5年の歳月をかけた代表作、長編叙事詩『フリチョフ物語』(1825)は、同名の古代アイスランド・サガに想を得たものであり、インゲボリとの愛のくだりなど、ギリシア的、オリエント的要素を指摘できる。この作品発表後、詩作活動は停滞し、40年には精神に異常をきたし、生涯治癒することがなかった。政治的には極端な王党派の立場をとる。
[田中三千夫]