改訂新版 世界大百科事典 「トゥルネブス」の意味・わかりやすい解説
トゥルネブス
Turnebus
生没年:1512-65
フランスの古典学者。本名が不明のためフランスでもラテン名のフランス語形Adrien Turnèbeを用いる。パリで勉学した後,1547年トゥサンJ.Toussainの後任として王立教授団の一員となり,51年からは王立出版所の監督も兼ねた。主として古代ギリシア詩を研究し,52年に出版したアイスキュロスの悲劇作品の校訂本は,イタリアのロボルテロF.Robortelloやベットーリ(ウィクトリウス)の仕事と競合するものだった。また53年に出版したソフォクレスの悲劇作品のテキストは,ステファヌス版(1568)に踏襲されたため,その後永く標準版として尊重された。ほかにテオグニスの詩や《イーリアス》も校訂出版したが,晩年には関心を古代ギリシア哲学に転じた。
執筆者:片山 英男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報