テオグニス(英語表記)Theognis

精選版 日本国語大辞典 「テオグニス」の意味・読み・例文・類語

テオグニス

  1. ( Theognis ) 古代ギリシアの抒情詩人メガラ貴族出身で紀元前六世紀末頃に活躍。エレゲイア詩型による約一四〇〇行の短詩が伝わる。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「テオグニス」の意味・わかりやすい解説

テオグニス
Theognis

古代ギリシアの詩人。生没年不詳。前6世紀末から前5世紀前半の人で,出身地はギリシア本土(別伝ではシチリア島)のメガラと伝えられる。その名のもとに総計約1400行の,エレゲイア詩型の短詩が〈詩集〉の体裁で伝存しているが,その中で実際にテオグニスの作に成るものはおそらく最初の約250行のみで,他は彼以外のエレゲイア詩人たちの作品と目されるものが多数混入している。最後の約150行は,同性間の恋愛を歌う短詩集となっている。このような混交状態を呈した詩集ではあるが,一貫して明白な政治的・倫理的主張もまた認められる。すなわち,民衆派勢力の台頭によって社会的・経済的窮地においこまれた貴族派の,やむにやまれぬ苦しい心情が酒宴の席で仲間の間で語られ,同派の若い世代に対する訓言としてつづられている。真の友情について,金銭がもたらす悪や堕落について,幸と不幸について,貴族派として持すべき認識が,ときには誠実にときには偏見に満ちた角度から述べられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テオグニス」の意味・わかりやすい解説

テオグニス
Theognis

前 540年頃活躍のギリシアのエレゲイア詩人。メガラの貴族の家に生れ,当時の貴族と民衆の政争犠牲になって富も地位も失い,亡命生活をおくった。彼の名を冠して現存する詩集2巻 1382行はこの抗争変遷を反映している。その教訓的内容と貴族主義に教育的価値を認められて,のちに広く普及し,彼の名のもとに金言名句が集められたらしい。またチュルタイオス,ミムネルモス,ソロンら先人の作も混入しているために,どれが彼の真作かを決めることは困難である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テオグニス」の意味・わかりやすい解説

テオグニス
ておぐにす
Theognis

生没年不詳。古代ギリシアの詩人。紀元前540年ごろの人。生国メガラの貴族。貴族と平民の政治的争いのため、国外に逃れた。エレゲイア詩型による1389行の教訓詩が伝わるが、ソロンなど他人の詩の混入が数多く認められ、真作部分について論議がある。貴族のあるべき姿について教訓を与え、貴族としての立場から社会的不公平などを訴える彼の詩は前5世紀アテナイの貴族社会にもてはやされた。

[廣川洋一]

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百科事典マイペディア 「テオグニス」の意味・わかりやすい解説

テオグニス

前6世紀末から前5世紀前半のギリシア詩人。メガラの出身。政争に巻きこまれて放浪。エレゲイア詩形(エレジー)による教訓詩を多く書いたが,現存の彼の詩集には他人の作も混入する。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「テオグニス」の解説

テオグニス
Theognis

前6世紀

ギリシアのメガラ出身の抒情詩人。1400行もの詩が伝わっているが,原詩の修正や他の詩人の作も入っているらしい。詩の基調は新興の金持ちを憎む貴族主義に貫かれている。

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世界大百科事典(旧版)内のテオグニスの言及

【ギリシア文学】より

…かろうじてエレゲイア形式の随想表白や墓碑詩,エピグラム,酒宴歌(スコリオン)などが,受け継がれる。通称《テオグニス詩集》として今日伝わるものは,詩人テオグニスの作品を中核として,後世に至るまでのエレゲイア詩を集輯して生まれたものである。
【IIIアテナイ文学の時代】

[劇文学と散文体文学の隆盛]
 叙事詩と抒情詩という2本の大道を進んできたギリシア文学の歩みは,ペルシア戦争を境として大きく変容する。…

※「テオグニス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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