日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラティルコ」の意味・わかりやすい解説 トラティルコとらてぃるこTlatilco 現メキシコ市の同名の地区に、紀元前一千年紀にあった初期農村村落の遺跡。現在までに約400の墳墓が発見され、多くの完形土器・土偶が出土している。固有の文化伝統をもつと同時に、オルメカ文化の影響も示し、平底の皿や口頸(こうけい)部のないテコマテ型壺(つぼ)から鐙(あぶみ)型壺、魚や動物の象形壺に至るまで、多彩な器形と装飾技法がみられる。土偶も変化に富み、様式化した表現をとりながら、祭祀(さいし)や日常生活における人間の様態を変幻自在に表現している。トラティルコの文化的影響は、メキシコ盆地を越えて、モレロス州にまで及んでいる。[増田義郎] テコマテ型壺 母子土偶 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例