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土偶 どぐうmother goddess

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

土偶
どぐう
mother goddess

人物や動物をかたどった土製品。エジプト,メソポタミア,中国など世界各地で古代より制作されていた。初めは宗教的,呪術的な意味をもつ像であったが,のちには墳墓の副葬品,玩具ともなった。中国では殷代から (よう) と称する人物,動物などの陶製像があり墳墓に副葬された。日本では縄文時代に盛んにつくられた。土偶の彫刻表現は時期により相違があり,人物土偶はいずれも女性を象徴的に造形し,農耕社会にあっては,生産神としての地母神崇拝を表わすものといわれる。人物土偶のほか犬,いのししなどの動物土偶もある。弥生時代に土偶の遺例はほとんどないが,古墳時代には埴輪土偶と称する形象埴輪 (家形,器材,動物,人物) がある。 (→埴輪 )

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デジタル大辞泉の解説

ど‐ぐう【土偶】

土をこねって作った人形。つちにんぎょう。
粘土を材料として焼きあげた人形。東ヨーロッパでは旧石器時代にさかのぼるが、世界的には新石器時代以降の農耕社会に多い。日本では縄文時代を特色づける遺物。女性をかたどるものが多く、多産・豊饒(ほうじょう)・再生の呪術に用いたらしい。

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百科事典マイペディアの解説

土偶【どぐう】

人の形をした小型の土製品。新石器時代から世界各地で作られ,日本では,縄文時代早期に出現,縄文時代晩期から弥生時代初頭に消滅する。特に東日本から多く出土する。乳房やふくらんだ下腹部が表現されることから,女性像とされ,生殖・豊穣にかかわる母神像とみる説もある。出土する土偶は,ほとんどが頭・手・胴・足などが意図的に破損されている。
→関連項目イェリコ(遺跡)釈迦堂遺跡真福寺貝塚テッサリア文化テラコッタ尖石遺跡母神像

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世界大百科事典 第2版の解説

どぐう【土偶】

世界各地の先史時代を中心に広くみられる人間をかたどった土製品。乳房や臀部を誇張した女性像が大部分で,男性を表すのはまれである。動物をかたどったものは動物土偶と呼ばれ,素材に石を使ったものは岩偶という。日本における動物土偶は,縄文時代後期から晩期にかけて,おもに東日本でみられ,猪が最も多く発見される。他に犬,猿,熊,ムササビ,亀,ゲンゴロウなどがあり,いずれも食糧などとして生活に密着した動物が選ばれた。

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大辞林 第三版の解説

どぐう【土偶】

土製の人形。
縄文時代の遺跡から多く出土する素焼きの土製人形。用法・製作目的などに諸説あるが、主に呪術的・宗教的意味をもたせて作られたとされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

土偶
どぐう

広義には土製の人形をいう。古墳時代の埴輪(はにわ)も、かつて埴輪土偶とよばれていた。普通は、縄文時代の人形の土製品をさす。縄文時代の比較的早い時期に出現し、以後一貫して各時期に存続する。この時代の代表的遺物の一つである。弥生(やよい)時代には、確実に土偶といえるものはみられない。
 粘土を焼いてつくったもので、大きなものは高さ40センチメートルを超える例がある。多くは10~30センチメートルほどの大きさ(身長)である。全体の形、各部分の表現、文様のあり方などは、時期的・地域的な違いが目だつ。早期に属する土偶は、顔面や手足が省略されているが、乳房がはっきりと認められ、女性像とみて間違いない。いたって素朴なつくりで、高さ4~5センチメートル前後のものである。板状を呈する。茨城県花輪台(はなわだい)貝塚の出土品などが有名であるが、発見例は少ない。前期の土偶も、早期のものとほぼ同様であり、写実性を欠く。中期の段階になって、目・鼻・口などを表し顔面をかたどったもの、また腹部が膨らんで妊娠の状態を表したものなど、縄文土偶らしい特徴が表れる。形状は変化に富む。乳児を抱いて座った姿勢のもの、また乳児を背負ったかっこうの土偶なども知られている。また、3本指の手、三つ口を思わせるもの、つり上がった目など異様な表現もみられる。土偶のもつ呪術(じゅじゅつ)的な面が強調されたのであろう。後期には、全国的に普及発達をみせる。たとえば茨城県立木(たちき)貝塚(後期)などからは、おびただしい数の土偶が発見されており、その異常さに関心がもたれる。またそれまで発見例の乏しかった近畿地方以西の地にも、出土品は増える。しかし、いずれも写実性に欠けている。
 関東地方の場合には、おおむね次のような変遷が知られている。後期の初め(堀之内(ほりのうち)式土器の時期)には、手足を表現しない筒形土偶、ハート形の顔面を特徴とするタイプのものなどがつくられる。次の加曽利(かそり)B式土器の時期には山形土偶が出現する。これには比較的写実性の認められるものがある。後期の終わりごろ(安行(あんぎょう)式土器の時期)には、丸い目と「とさか状」の頭部を特徴とする「みみずく形土偶」が登場する。晩期になると、東北地方を中心に発達した亀(かめ)ヶ岡(おか)式土器に伴う遮光器形土偶が代表的なものとしてあげられる。かつて遮光器をかたどったと考えられたことがあるように、目の表現が特徴的であり、また精巧、中空のつくりである。縄文時代の最終末ないし直後には、中部・関東地方の一部に容器形土偶が現れる。中空であり、頭部が開口している。内部に幼児骨の納められた例が報告されている。この容器形土偶は、もっぱら弥生時代の中期の段階に、東北地方南部から関東北部にかけて普及した人面付土器へ変化発展していったと考えることができる。
 土偶は、単なる飾り物や玩具(がんぐ)などではない。縄文時代人の内面的な生活に深いかかわりをもつものであったろう。乳房や妊娠した状態は、女性とりわけ母性を意識したものである。このことから、動植物の繁殖、豊饒(ほうじょう)を祈願することなどに結び付ける考えがある。また、土偶が完全な形で発見される場合はきわめて少なく、たいていどこかの部分が欠損している。これについては、病気やけがなどの身代りであったとする解釈が聞かれる。その欠けた箇所をアスファルトで接着した例が知られている。さらに、土偶が遺骸(いがい)を埋葬した墓壙(ぼこう)内から出土した例も報告されている。この場合には副葬品ということになろうが、どんな意味が込められていたのであろうか。[岡本 勇]

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