日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラフザメ」の意味・わかりやすい解説
トラフザメ
とらふざめ / 虎斑鮫
軟骨魚綱テンジクザメ目の科や属の総称、またはその1種の名称。トラフザメ科Stegostomatidae(英名zebra sharks)はトラフザメ属StegostomaのトラフザメS. tigrinum(英名zebra shark)1属1種からなる。体が太く、数本のキール(隆起線)があること、両背びれは基底が長く、第1背びれが腹びれより前にあること、尾びれが太く、非常に長いことなどが特徴である。若魚は地色が黄白色で、体幹部に6~8本、尾部に約20本の黒褐色の帯状模様がある。浅海の砂泥底、サンゴ礁、岩場などにすむ。海底に静止していることが多いが、オーストラリア東岸では、季節により南北に1000キロメートル以上移動することが知られている。生殖方法は卵生で、3か月ほどの産卵期に40~80個の卵を産む。卵殻は手のひら大で、孵化仔魚(ふかしぎょ)は全長20~36センチメートルである。最大で2.5メートルほどになる。西部太平洋、インド洋の熱帯・亜熱帯海域にすむ。国際自然保護連合(IUCN)のレッド・リストでは、絶滅危惧(きぐ)種中の「危機」(EN)に指定されている(2021年9月時点)。
[仲谷一宏 2021年10月20日]