デジタル大辞泉
「基底」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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き‐てい【基底】
- 〘 名詞 〙
- ① 物事の基礎となる事柄。土台となる事柄。
- [初出の実例]「如何なる空想的夢幻的の製作でも、其基底は鋭利な観察によって複雑な事象を其要素に分析する心の作用がなければならない」(出典:科学者と芸術家(1916)〈寺田寅彦〉)
- ② 数学でベクトル空間のもとになるベクトルの組をいう。すなわち、ベクトル空間Vのベクトルの組 e1,e2,…,en で次の条件をみたすものをVの基底という。Vのいかなるベクトルにも λ1e1+λ2e2+…+λnen という形にただ一通りに表わされる。ただし、λ1,λ2,…,λn はスカラー。
- ③ 立体の底。底面。また、器物などの底。
- [初出の実例]「基底(キテイ)から天井まで最も高い処が二丈三尺」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉附録)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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基底
きてい
base
単に底または基ともいい,数学のさまざまな構造について,それを生成する基になるものについてこの名がつけられている。近傍系,位相,ベクトル空間,アーベル群などによく使われる。 (1) 近傍系の基底 基本近傍系のことをいう。 (2) 位相の基底 位相空間 S の位相 T と S の開集合の族 B に対し,T⊃B であって,T の任意の元が B の (必ずしも有限個でない) 元の和集合として表わされるならば,B は T の基底であるという。 (3) ベクトル空間の基底 x≠0 を1つのベクトルとするとき,x に平行な直線上にあるすべてのベクトルは,ax ( a は実数) で表わすことができる。 a を任意の実数とするとき,a にすべての実数値を与えて得られる ax の集合 V1 は,1次元ベクトル空間をつくる。このとき x をこの V1 の基底という。一般に,n 次元ベクトル空間 Vn の任意のベクトル x がこの V における1次独立なベクトル e1,e2,…,en の1次結合として x=x1e1+x2e2+…+xnen と表わされるとき,e1,e2,…,en の組を Vn の基底といい,実数の組 x1,x2,…,xn をこの基底に関する x の成分という。 (4) アーベル群の基底 アーベル群 A において,A の任意の元 a が a=c1x1+c2x2+…+cnxn ( ci は整数) という形にただ1通りに書けるとき,A の元 x1,x2,…,xn の集合を A の基底という。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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基底
キテイ
basis
n次元の線形(ベクトル)空間の任意の元aが元の列(a1,a2,…,an)の線形結合で表されるとき,この元の列を基底という.列をつくる異なる元の間のスカラー積(内積)が0のとき,この基底は直交しているといい,元自身のスカラー積がすべて1のとき,規格化されているという.関数(ψ1,ψ2,…,ψn)が基底であるときは,スカラー積は
∫ ψi*ψj dτ
で表される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の基底の言及
【一次独立】より
…x1,……,xnが一次独立でないとき,一次従属linearly dependentであるという。Vの元y1,……,ymがあって,Vの任意の元xがy1,……,ymの一次結合で書ける,すなわちx=β1y1+……+βmymと表せるとき,Vは有限次元であるといい,さらにy1,……,ymが一次独立であるとき,それらをVの基底basisと呼ぶ。基底は必ず存在し,その数mは基底の選び方によらず一定である。…
※「基底」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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