日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドロミーティ山地」の意味・わかりやすい解説
ドロミーティ山地
どろみーてぃさんち
Dolomiti
イタリア北部、アルプス東部、南チロール地方の山地。垂直に切り立つドロマイト(苦灰岩または白雲岩とよばれる石灰質岩で、名称はフランスの地質学者ドロミューにちなむ)の岩峰が特異な景観をなす。最高峰マルモラーダ山(3342メートル)。ほかにチベッタCivetta(3218メートル)、サッソルンゴSassolungo(3181メートル)、ラバレドLavaredo(2998メートル)、クリスタロCristallo(3216メートル)など多くの岩峰がある。人工登攀(とうはん)の発祥地とされており、ロック・クライミングが盛んである。登山基地トレンティーノ・アルト・アディジェ州ボルツァーノからベネト州コルティーナ・ダンペッツォにかけてはドロミーティ街道が通り、ヒュッテなどの施設が整備され、観光・保養地としても知られる。1985年7月、トレント北東カバレーゼ近くのスタバ渓谷で降雨によりダムが決壊、観光客ら200人以上が犠牲となる事故があった。
[徳久球雄]