ヌリスタン人(読み)ぬりすたんじん(その他表記)Nuristani

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌリスタン人」の意味・わかりやすい解説

ヌリスタン人
ぬりすたんじん
Nuristani

パキスタンからアフガニスタンの北部に位置するヒンドゥー・クシ山脈の南斜面に住む山岳民族。かつてはカフィール人とよばれた。標高1800メートル以上の険しい山中に6~8万人が閉鎖的な社会をつくって住む。カフィールQuafirの語源はアラビア語で「異教徒」「不信心者」を意味し、1895~96年にアフガン人によって強制的にイスラム教に改宗させられる前までは、この地はカフィリスタン(異教徒の地)とよばれた。イスラム改宗後、彼らの居住地はヌリスタン(光の地)とよばれ、カフィール人もヌリスタン人(光を見た人)とよばれるようになった。

 金髪、碧眼(へきがん)でインド・ヨーロッパ語族のサンスクリットに近いことばをもつことから、紀元前2000年ごろインドに侵入したアーリア人が起源とされる。高地山腹段々畑をつくって穀物を栽培し、またヤギや牛の移牧を行う。平坦(へいたん)地はすべて耕地となるため、彼らの住居は険しい崖(がけ)ぎわに建てられる。石と木でつくられ、窓もなく、まるでハト小屋のような感じで、出入りのたびに階段を上り下りしなければならない。

[片多 順]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android