日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハサミコムシ」の意味・わかりやすい解説
ハサミコムシ
はさみこむし / 鋏小虫
昆虫綱無翅(むし)亜綱双尾(そうび)類(目)Dipluraハサミコムシ科の昆虫の総称。コムシ類(目)ともよばれる。石下や積もった落ち葉の下などにみられる体長10ミリメートル前後の、白くて細長い虫。腹端節はキチン化が強く暗褐色を呈し、尾端には尾角(びかく)の変形してできた釘抜(くぎぬ)き形の尾鋏(びきょう)をもつ点で、同じ目のナガコムシの類とは区別される。頭部は方円形、目はなく、多節の触角をもつ。自由に動く3節の胸部はいずれも円盤状。3対の脚(あし)で活発に歩き、尾鋏を使ってトビムシなどをとらえ食べる。尾鋏は外敵に襲われたときにも、これをかざして武器として用いる。肥沃(ひよく)な土壌中にも多く、また地中浅層にも広くみられる、いわゆる土壌昆虫の一つである。ヤマトハサミコムシJapyx japonicusは、体長10ミリメートルで、本州、九州に分布。オオハサミコムシJ. beneserratusは、大形種で15~25ミリメートルもあり、九州に分布する。なお、オーストラリアのヒテロヤヒックスHeterojapyxの1種は、例外的に大きくて7センチメートル以上にもなる。
[山崎柄根]