改訂新版 世界大百科事典 「ナガコムシ」の意味・わかりやすい解説
ナガコムシ (長小虫)
コムシ目ナガコムシ科Campodeidaeに属する昆虫の総称。広く世界各地に分布し,カムポデア類とも呼ばれる。日本からはイシイナガコムシCampodea ishiiなど7種類が記録されている。地中,落葉の中,倒木や石の下などにすみ,植物質,腐植質,菌類(菌糸,胞子)などを食べる。体長3~6mmの白色の細長い虫で,翅はなく,眼もない。大あごや小あごが平素は頭蓋の中に収まっている内腮口(ないさいこう)で,触角は数珠状で20節以上からなる。胸部の3対の肢はほぼ同大でかなり活発に走る。それぞれの肢の跗節(ふせつ)は単節,つめを2本ずつもっている。腹部の末端には第11腹節が変形した1対の長い多節の糸状の尾がある。この尾はわずかの刺激にも切れやすいが,再生力も高い。腹部には気門がなく,第2~7節の腹面には小さなとげ状の突起と胞状の膨らみが見られる。第8腹節に生殖孔が開いているが,外部生殖器はなく,間接受精する。成長の途上で目だった変態をしない。4~5回の脱皮で成虫となるが,性成熟後にも繰り返し脱皮を続ける。
なお,有翅昆虫のトビケラ目,脈翅目,ネジレバネ目,甲虫目などの幼虫の中には,ナガコムシの体型に似た胸部に3対の長い肢があるが,腹脚を欠き,腹端に1対の尾状の突起をもったものがある。このような幼虫は〈ナガコムシ(カムポデア)型幼虫〉と呼ばれる。
→コムシ
執筆者:今立 源太良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報