日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハタタテガレイ」の意味・わかりやすい解説
ハタタテガレイ
はたたてがれい / 旗立鰈
cockatoo righteye flounder
[学] Samaris cristatus
硬骨魚綱カレイ目ベロガレイ科に属する海水魚。伊豆半島以南の太平洋、東シナ海、南シナ海を経てインド洋、ニュー・カレドニアに分布する。背びれの第1から第12~15軟条までは糸状に著しく長く(頭長の4~5倍ほど)伸長する。有眼側の腹びれも長く伸びる。体は楕円(だえん)形で、著しく扁平(へんぺい)。口は小さく、ほとんど垂直に開く。側線は有眼側ではよく発達し、体の中軸を直走するが、無眼側では不明瞭(ふめいりょう)。無眼側に胸びれはない。体色は有眼側では暗紫色で、背縁と腹縁にはっきりしない暗色斑(あんしょくはん)が1列に並ぶほか、多数の黒点や輪斑が不規則に散らばる。伸長した背びれ軟条は白い。水深20~80メートルの砂底や砂泥底にすみ、海底にすむ小形の小動物を食べる。体長は20センチメートルほどになる。日本ではまれに底引網で漁獲される。長い背びれを立てて泳ぐ姿がめずらしく、ダイバーに人気があり、よく撮影される。近縁種のトゲハタタテガレイは背びれの伸長軟条は3~7本で、尾柄(びへい)の背腹縁上にそれぞれ2~5本の棘(とげ)がある。
[尼岡邦夫]