バーツラフ(読み)ばーつらふ(その他表記)VáclavⅡ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーツラフ」の意味・わかりやすい解説

バーツラフ(2世)
ばーつらふ
VáclavⅡ
(1271―1305)

ボヘミアのプシェミシル朝の王。父オタカル2世(在位1253~78)の死後、父の宿敵ハプスブルク家のルードルフの娘グータと結婚。ルードルフから世襲領封土としてボヘミア、モラビアを得、のちに選帝侯位、献酌侍従長職を獲得、領土の平和的維持を目ざす。1300年以降、弱体化した隣国ポーランドの貴族に支持されポーランド王位につき、神聖ローマ帝国の不安定化に乗じてスラブ諸族の統合を企てた。さらに01年には息子のバーツラフ(3世)のために、男系の絶えたハンガリーのアールパード家からハンガリー王位を奪ったが、権力を固めるには至らずに死去。翌年息子の死とともに王朝断絶

[稲野 強]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のバーツラフの言及

【ポーランド】より

…ヘンリク4世有徳侯Henryk IV Probus(1257ころ‐90。王位を目ざすが実現直前に死亡),プシェミスウ2世Przemysł II(1257‐96),チェコ国王バーツラフ2世Václav II(1271‐1305),ブワジスワフ短身王Władysław Łokietek(1260ころ‐1333)が,それぞれポーランド王位を手がかりに統一の実現を目ざすが,最終的にこれに成功したのが短身王である(1306)。そして,その子カジミエシュ世(大王。…

【チェコ】より

…歴代のプシェミスル侯は,ハンガリー,ポーランドと同様にドイツの圧力と戦いつつ,逆にその力を利用して,国内の君主制の強化・拡大を図った。バーツラフVáclav(聖王。在位921‐929)はカトリックを国内に布教するのに積極的に努め,ボヘミア初代キリスト教君主となったが,キリスト教導入に反対する弟ボレスラフ1世Boleslav I(在位929‐967)に暗殺された。…

※「バーツラフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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