断絶(読み)だんぜつ

精選版 日本国語大辞典 「断絶」の意味・読み・例文・類語

だん‐ぜつ【断絶】

〘名〙
[一] 続いていたものがたえること。
① 古くから受け継がれてきた歴史や伝統などがとだえること。
江談抄(1111頃)一「可大原野也者、而参大原野已以断絶也」
福翁自伝(1899)〈福沢諭吉王政維新「拿破翁(なぽれおん)の乱に和蘭国の運命は断絶(ダンゼツ)して、本国は申すに及ばず印度地方まで悉く取られて仕舞て」
子孫が絶えること。家を継ぐものがいなくて廃絶すること。
尺素往来(1439‐64)「家隆卿之嫡流者九条羽林。下向防州未及帰洛。有家朝臣者余胤断絶」
読本・椿説弓張月(1807‐11)続「天孫氏二十五代、一万七千八百二年の正統、ここに断絶(ダンゼツ)す」
③ 続いてきた動作などがやむこと。動きが止まること。
※中外抄(1137‐54)久安六年七月一七日「他行法自雖有断絶、於三昧者昼夜不断事也」
※私聚百因縁集(1257)九「命終の日強(あながちに)微力を扶(たす)けて沐浴し西に向ひ気(いき)断絶(ダンゼツ)すと云々」
④ 全くなくしてしまうこと。全くなくなること。根絶
※小右記‐長和元年(1012)六月一七日「一日左府有落書云々。民部大輔為任以陰陽師五人咒咀之由云々〈略〉相府一生間、如此之事不断絶
※東京学(1909)〈石川天崖〉二四「先づ酒色に耽る所の情慾の根を断絶(ダンゼツ)すると云ふことが」
[二] 結びつきやつながりが切れてなくなること。
① 主家と臣下の縁を切ること。また、その結果家格を降ろされ所領を没収されること。とりつぶされること。
浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)二「家の断絶(ダンゼツ)、奥が歎き、思はんにてはなけれ共、刀の役目弓矢神への恐れ」
② 人と人、また、国と国との間などで今まであった結びつきや関係が切れること。
※日本書紀兼倶抄(1481)「夫婦の間を断絶あらば、国の民を一日千人ころさうぞ」
※火の柱(1904)〈木下尚江〉三〇「『日露外交の断絶』てふ一項の記事と相並で」 〔戦国策‐趙策・烈侯〕
執着していた物や事柄から心を引き離すこと。
サントスの御作業(1591)一「コノ クニエ ワタラレタル コト ベツ ニ アラズ、ショブツ ヲ danjet(ダンゼツ) セシメンタメ ナリ」
露団々(1889)〈幸田露伴一八「君は全く恋慕の念を断絶(ダンゼツ)しましたか」
途中で切れること。また、きれぎれになること。
※足利本論語抄(16C)衛霊公第十五「履(ふま)草生して路断絶する也」

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デジタル大辞泉 「断絶」の意味・読み・例文・類語

だん‐ぜつ【断絶】

[名](スル)
続いてきたもの、受け継がれてきたものが、絶えること。廃絶すること。「家が断絶する」
結びつきや関係が、切れること。また、関係などをたちきること。「世代断絶」「国交断絶する」
まったくなくしてしまうこと。根絶すること。「悪弊断絶する」
執着をたちきること。
「君は全く恋慕の念を―しましたか」〈露伴・露団々〉
[類語]中止打ち切るやめる切り上げるよす断つとりやめる休止停止中断中絶ストップ沙汰止みお流れ立ち消え途絶控える手を引く放り出す見合わせる見送る思いとどまる踏みとどまる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「断絶」の読み・字形・画数・意味

【断絶】だんぜつ

たちきる。魏・文帝〔雑詩、二首、一〕飛ばんことを願ふも、安(いづ)くにかを得ん 濟(わた)らんと欲するも、河梁(かりやう)無し 風に向ひて長く息す 我が中腸を斷

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