改訂新版 世界大百科事典 「バーバーイー運動」の意味・わかりやすい解説
バーバーイー運動 (バーバーイーうんどう)
ルーム・セルジューク朝時代,13世紀モンゴル侵入期直前のアナトリアにおいて,イスラム神秘主義教団(タリーカ)の指導者ないし長老たるババの影響と誘導のもとに推進された宗教・社会運動を一般的に指す。アナトリアを一時混乱に陥れたバーバー・イスハークの反乱(1240)などもその一つの表れである。多年にわたりオスマン朝の対抗勢力となったカラマン侯国の勃興も,バーバーイーBābā'ī運動の指導者でもあった始祖ヌーレ・スーフィーNūre Sūfī(スーフィーの光の意)の活動と関連する。バーバーイーの反乱は,アナトリアの政局に重大な影響を与えたのみならず,トルコ族の文化・社会形成のうえでも重要な政治運動の形式を示すものであった。
執筆者:三橋 冨治男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報