改訂新版 世界大百科事典 「パオトー」の意味・わかりやすい解説
パオトー (包頭)
Bāo tóu
中国,内モンゴル自治区中部,河套(オルドス)平原中部,黄河の北約5kmの都市。人口167万(2000)。18世紀初めは数十戸の村であったが,1871年(同治10)城壁を築いて町としてから発展,1922年北京との鉄道(京包線)開通により内モンゴルや甘粛地方の皮革・羊毛交易の商業都市となった。解放後発見された北約130kmの白雲鄂博の鉄鉱石や,東の石拐のコークス用炭などを基礎に,1957年から西の草原に鉄鋼コンビナートが建設され,今日では〈草原鋼城〉の称のある鉄鋼を中心に各種機械,自動車,電力,紡織,皮革,製糖などの工業がみられ,解放時人口約8万の町は工業都市に変貌した。また,北京,蘭州,鉄鉱石や石炭産地との鉄道や黄河水運など交通面の要地でもあり,農畜産物集散地として重要である。北東の大青山にある五当召は,六つの大殿を有する内モンゴル最大のラマ寺院で,壁画や仏像があり,一方,南の黄河を越えた伊克昭盟にはチンギス・ハーンの陵がある。
執筆者:小野 菊雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報