改訂新版 世界大百科事典 「パトルーン制」の意味・わかりやすい解説
パトルーン制 (パトルーンせい)
patroon
オランダ西インド会社が北アメリカ大陸のニューネーデルラント植民地に導入した封建的な大土地所有制度。移民を促進するため1629年に同社は,4年間に50人の入植者を送りこんだ出資者に大土地を下付する制度を設けた。それは〈恒久的に相続される封土〉であり,領主(パトルーンと呼ばれた)には領主裁判権などの特権があった。同植民地が64年にイギリス領に併合されてニューヨーク植民地になったのちも,イギリス人領主は残存したレンセラーズウィックなどのパトルーン制にならって大土地所有制をしいたため,パトルーン制は1840年代の反地代闘争によって解体されるまで続けられた。
執筆者:富田 虎男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報