封土(読み)ホウド

精選版 日本国語大辞典 「封土」の意味・読み・例文・類語

ほう‐ど【封土】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ふうど(封土)
    1. [初出の実例]「封土(ホウド)高八尺、石牆以これに環る」(出典読本椿説弓張月(1807‐11)拾遺)
    2. [その他の文献]〔礼記注‐祭法〕
  3. 諸侯大名が、主君から領知権を与えられて支配する土地。
    1. [初出の実例]「封土(ホウド)の内十万石を削り余は尽く興丸に賜ふ」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉七)
    2. [その他の文献]〔漢書‐杜鄴伝〕

ふう‐ど【封土】

  1. 〘 名詞 〙 人工の盛土。一般に古墳の盛土をさす。日本では、人工による盛土だけでなく、自然地形利用の場合も含めて用いる。ほうど。

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百科事典マイペディア 「封土」の意味・わかりやすい解説

封土【ほうど】

西欧中世の封建君主が,家臣に封建的諸義務を履行させるための物的基礎として与えた恩貸物件。封,知行レーンLehen(ドイツ語)とも。土地が通例だが,そのほか官職公権収入を伴う権利,のちには定期金も含めるようになった。封土に対する家臣の権利は初め用益権に限られたが,次第に処分権にも及び,保有期間も初めは終身だったが10世紀ごろから世襲化。→封建制度

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「封土」の解説

封土(ほうど)
fief[英,フランス],Lehn[ドイツ]

封,知行(ちぎょう)ともいう。封建主君が己れの家臣へその奉仕義務遂行の条件を満足させるために与える物的保証。土地が通例だが,各種の官職,公権,また種々の役職,権利(関税徴収権,市場開設権,鋳貨権など),さらにのちには貨幣(一時金,年金)も用いられた。これに対して家臣が有する権利は最初用益権のみだったが,しだいにその処分権も獲得した。その授受は一代限りであったが,早くに世襲化した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「封土」の解説

封土
ほうど
fief

封建制度において,家臣の義務である軍役奉仕に対し,主君が生活の物的な保障として家臣に与えた土地。采 (さい) 地・知行 (ちぎよう) 地ともいう
元来,封土の授受は一代かぎりで,家臣は用益権をもつにすぎないとされたが,やがて世襲化し,処分権を得るに至った。土地のほか,官職,貨幣鋳造や関税徴収,市場開設の諸権利なども含む。

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普及版 字通 「封土」の読み・字形・画数・意味

【封土】ほうど

領土。

字通「封」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「封土」の意味・わかりやすい解説

封土
ほうど

墳墓の盛り土をいう。一般には人工的につくられたものをいうが,自然地形を利用した部分を含めて呼ぶ場合もある。

封土
ほうど

「レーン」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の封土の言及

【封建制度】より


【定義・用法】
 〈封建〉の語は,もともとは中国周代の国家制度を指す語であったが,現在日本の学術用語では,この意味で〈封建制度〉の語が用いられることはほとんどなく,ヨーロッパのフューダリズムの訳語として転用されている。この後者の意味での用語法も学者によって一様ではなく,やや極言すれば,それぞれの学者が多少とも異なった意味でこの語を用いている。しかし,細部の違いを捨象して巨視的にみれば,ほぼ次の四つの概念類型を区別することができよう。…

※「封土」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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