パドマーワット(その他表記)Padmāvat

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パドマーワット」の意味・わかりやすい解説

パドマーワット
Padmāvat

インドスーフィズム詩人マリク・ムハンマド・ジャーエシーが,1540年頃著わした叙事詩。東部ヒンディー語の一つであるアワディー方言で書かれ,701の詩から成る。チットールの王であるラトナセーナとセイロンの王女パドマーワットとの愛と結婚主題とし,デリーのイスラム教徒王との戦いあしらい,寓意性をもたせた華麗な作品

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世界大百科事典(旧版)内のパドマーワットの言及

【インド文学】より

…これはベンガルの密教文学の底流をヒンディー文学のバクティ文学に伝える懸橋ともなった。イスラムの神秘主義思想家クトゥバンの《ムリガーワティー》(16世紀初め),同じくジャーエシーの《パドマーワット》などは,アウド地方の民間説話を素材にして,彼らの思想を親しみやすい形で説いた恋愛物語である。ビシュヌ神にかかわるバクティ文学には,同神の化身としてラーマをあがめる系譜とクリシュナをビシュヌ神の化身とする系譜とがある。…

【ジャーエシー】より

…16世紀の北インドのスーフィー詩人。自作での叙述によると,ジャーエシーは現在のウッタル・プラデーシュ州ラーエ・バレーリー県のジャーヤスという町の地主の子に生まれ,若いときにチシュティー教団に入り,以来その町で耕作と修業をしながら過ごしたという。ジャーエシーは,そのころ民間に流布していた恋愛物語を素材として使い,美しい姫君に恋する英雄が苦難をのりこえてその姫と結ばれるというストーリーのなかで,美姫により神を,それを恋うる英雄により神を求める人を寓意的に示して,神人合一を説いた。…

※「パドマーワット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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