改訂新版 世界大百科事典 「パナマゴムノキ」の意味・わかりやすい解説
パナマゴムノキ
Castilloa elastica Cerv.
クワ科の常緑高木。かつてはゴムの採集樹として利用されたが,現在はほとんど用いられない。メキシコゴムノキ,アメリカゴムノキとも呼ばれる。英名はCastilloa rubber tree,Central American rubber tree,Panama rubber tree,Mexican rubber treeなど。高さ20~30mになり,軟毛がはえる枝に葉を互生させる。葉は短い葉柄があり長楕円形,長さ20~40cm。雌雄異株,雌花の花托は発達して種子を包む。メキシコ南部から中米にかけて分布し,栽培のためにスリランカやマレーシアに導入されたこともあるが,パラゴムノキの栽培が広がって利用されなくなった。ゴム乳液の分泌量が少ないためであるが,ゴムの質はよく,中米では雨具の防水に用いられたという。同属のC.ulei Warb.(現地名cauchu)はアマゾン流域に分布し,ゴム乳液を生じるが,やはり現在は利用されていない。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報