内科学 第10版 の解説
パラミオトニアおよびその周辺(ミオトニア症候群)
常染色体優性遺伝をするきわめてまれな疾患.17 q 23に局在するvoltage-gated Na channelα
subunit(SCN4A)の遺伝子異常による.4疾患がある.
a.高カリウム血性周期性四肢麻痺
10歳以前の発症で,運動後の安静および寒冷によって誘発される軽度ないし中程度のミオトニアが数分~数時間続く.四肢脱力を伴う.発作時の血清K値が正常~高値.アセタゾラミドやサイアザイドを投与する.
b.低カリウム血性周期性四肢麻痺
10代発症で,運動後の安静,寒冷および炭水化物の摂取で誘発される四肢麻痺で,ミオトニアを伴わない.数時間~数日続く.発作時血清K値は低値ないし正常.ジクロルフェナミド,アセタゾラミドを投与する.
c.先天性パラミオトニア(paramyotonia congenita:PMC)
生下時から幼児発症で,運動および寒冷で誘発されるミオトニアで,しばしば四肢筋力低下を伴う.手・顔面・舌に生じやすい.
d.K+負荷により悪化するミオトニア(K+-aggravated myotonia:PAM)
K+の摂取,運動後の安静により誘発される有痛性ミオトニアである.自覚症状は非常に軽微なことがあり,血清K+の日内変動が著しい.寒冷による悪化もある.四肢麻痺を伴うことはない.[清水輝夫]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報