日本歴史地名大系 「ヒリク」の解説
ヒリク
ひりく
漢字表記地名「美禄」のもとになったアイヌ語に由来すると思われる地名。この地名はアトイヤ岬を挟んで東海岸と西海岸の二ヵ所にみられ、二ヵ所とも近代に入り留夜別村に包含された。仮名表記は両者とも「ヒリク」(「蝦夷巡覧筆記」、木村「蝦夷日記」、「東蝦夷地場所大概書」)、「ビリク」(木村「蝦夷日記」、「東蝦夷地場所大概書」)のほか「ビルク」「ピリク」(東行漫筆)もある。「東蝦夷地場所大概書」は島の東海岸通地名の一として「ビリク」、西海岸の地名として「ビリクトウ」をあげる。東海岸の「ヒリク」について「蝦夷巡覧筆記」は「当所山遠ク木有リ、此処小舟澗アリ、砂浜ユキ」、木村「蝦夷日記」は「入海、チヤチヤノボリノ北下、奇景海岸勾曲ノ如ク南請也、ヒリク惣乙名也」(寛政一〇年八月六日条)と記す。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報