ビタミンE欠乏症(読み)ビタミンEけつぼうしょう(その他表記)Vitamin E deficiency

六訂版 家庭医学大全科 「ビタミンE欠乏症」の解説

ビタミンE欠乏症
ビタミンEけつぼうしょう
Vitamin E deficiency
(内分泌系とビタミンの病気)

ビタミンEのはたらき

 脂溶性(しようせい)ビタミンであるビタミンEには、生体膜に存在する不飽和(ふほうわ)脂肪酸のフリーラジカルによる過酸化を防止する作用があります。そのために、ビタミンEには抗動脈硬化作用、免疫増強作用や抗がん作用などの健康に有益な作用があると考えられています。ビタミンEの抗酸化作用に伴う抗不妊作用も知られています。

原因は何か

 胆汁がたまることなどによる脂肪吸収障害、未熟児の場合や無β(ベータ)リポ蛋白血症によってビタミンEの運搬障害がある場合などの特殊な状況下で、ビタミンE欠乏症がみられます。また、不飽和脂肪酸の過剰投与時に発症したという報告があります。

症状の現れ方

 過酸化脂質が赤血球膜に増えるために溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)が現れます。神経系の異常として脊髄後索(せきずいこうさく)障害(深部感覚低下)、小脳性運動失調、腱反射(けんはんしゃ)消失筋力の低下や多発性ニューロパチーなども知られています。

 そのほかに、抗酸化作用の低下によると考えられる白内障(はくないしょう)、不妊や習慣性流産も報告されています。

治療の方法

 ビタミンEの1日所要量は成人で7~8㎎ですが、大量の不飽和脂肪酸を摂取している場合は、より大量の摂取が必要になります。また、無βリポ蛋白血症の患者さんの場合は、体重1㎏あたり100㎎の連続投与が必要です。

菅原 明

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

内科学 第10版 「ビタミンE欠乏症」の解説

ビタミンE(トコフェロール)欠乏症(ビタミン欠乏症)

(6)ビタミンE(トコフェロール)欠乏症
概念
 活性型ビタミンEは脂溶性で,細胞膜に存在して脂質の過酸化を抑制する.慢性膵炎,胆管閉塞症,胃・小腸切除などにより脂肪吸収障害が長期間続くと発症する.αトコフェロール輸送蛋白の変異はビタミンE欠乏症をきたし,遺伝性運動失調を伴う.
臨床症状
 後索性の運動失調で,腱反射低下,深部感覚低下,歩行時のふらつきなどを認める.
診断
 血清ビタミンEの低値(5 μg /mL未満).
治療
 ビタミンE 100 mgの筋注.[中里雅光]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

栄養・生化学辞典 「ビタミンE欠乏症」の解説

ビタミンE欠乏症

 →ビタミンE欠乏

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